シエスタ制度とは?導入する4つのメリットと運用時のポイントを徹底解説
「シエスタ制度ってどのような制度なのだろう」「シエスタ制度のメリットが知りたい」
上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
シエスタ制度は働き方改革の影響から、お昼休憩を長く設定する制度で、近年日本でも注目されている福利厚生の一種です。
本記事では「シエスタ制度」とは具体的にどのような制度なのか、導入のメリットや運用する際のポイントについて、実際の導入企業の事例を交えてご紹介します。
シエスタ制度がどんな制度か、うまく運用できるか不安な方は、ぜひ参考にしてください。
目次
シエスタ制度とは?
シエスタ制度とは、スペインで習慣化されている長いお昼休憩を日本でも実施できるように取り入れる制度です。
お昼休憩は1時間程度が一般的となっていますが、シエスタ制度は2~3時間の休憩を取ります。長めの休憩時間と考えるとわかりやすいでしょう。
シエスタ制度を利用すると、体や心のリフレッシュをしやすいほか、ゆっくりと昼食が取れるなどのメリットがあります。
シエスタ制度を導入する目的
シエスタ制度の導入の目的は、主に生産性の向上や業務の効率化です。
休憩時間が45分や1時間休憩の場合は、体や心が十分に休まらず、仕事に対して集中力が続かないと悩む方も少なくありません。
たとえば、お昼休憩時に外食をする場合、オフィスを出て昼食を取るお店を決め、移動したり注文したりするだけで大きく時間が割かれてしまいます。
しかし、シエスタ制度を導入するとゆったりと休めるため、リフレッシュを行いやすいです。
また、シエスタは時間内であればどのようなことに利用しても問題ありません。好きなことをできるため、気分転換を行いやすいのも特徴です。
シエスタ制度が日本で注目されている理由
スペインで習慣化されているシエスタですが、日本で注目されている理由は働き方改革の推進による影響です。
日本は労働基準法が改正されたことにより、残業時間は上限月45時間・年間360時間に変わりました。
また、厚生労働省健康局が発表している「健康づくりのための睡眠指針」では、第8条に午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝を取ることで眠気による作業能率の改善に効果的と記載されています。
シエスタ制度を導入すると、仕事の合間で仮眠を行いやすいほか、余った時間で好きなことをして過ごせる点から、従業員の仕事に対するモチベーションも上昇すると考えられ、日本でも注目されています。
シエスタ制度と合わせて注目されているパワーナップ
長いお昼休憩を行なうシエスタ制度と合わせて、積極的仮眠を意味する「パワーナップ」も注目を集めています。
積極的仮眠「パワーナップ」とは、コーネル大学の社会心理学者「ジェームス・マース氏」によって生み出された造語です。
15分~20分間の短い仮眠を指し、自ら率先して仮眠を取ることで脳のリフレッシュを行い、パフォーマンス向上を図ります。
仮眠時間が短いため、熟睡しすぎず、脳がスッキリとしやすいのがパワーナップの特徴です。
体を横にしてしまうと寝すぎてしまうため、仮眠するためのスペースを確保し、頭を机に固定した状態で寝るようにしましょう。
パワーナップの具体的な効果ややり方については以下の記事を参考にしてください。
シエスタ制度を導入する4つのメリット
シエスタ制度を導入するメリットは、4つあります。
- 従業員のパフォーマンスを高められる
- ストレスの軽減が期待できる
- 企業のイメージアップに繋がる
- ゆっくりと昼食がとれる
それぞれのメリットについて解説していきます。
従業員のパフォーマンスを高められる
シエスタ制度を導入すると、従業員のパフォーマンスを高められる点がメリットです。
たとえば、休憩時間が短い場合は昼食を取り、心や体を休める時間が少ししかありません。
仮眠を取るのが難しい場合も多く、午後から眠気に襲われて集中力が持続しない場合があります。
しかし、シエスタ制度を導入すると、昼食を取った後でも時間に余裕があるため、仮眠を取りやすいです。
眠気を覚ました状態で仕事を行えるため、集中力が続き仕事の効率を高められます。
ストレスの軽減が期待できる
シエスタ制度は、ストレス軽減が期待できる点がメリットです。
お昼休憩の時間が短い場合は、できることが限られてしまうため、ストレスに感じてしまうケースが少なくありません。
しかし、シエスタ制度は2~3時間とお昼休憩が長いので、余裕を持って過ごせます。
昼食を取った後に仮眠を行い、余った時間で好きな音楽を聞いたり散歩をしたりなど、好きなことにも時間を有効に使えるため、ストレスも軽減されやすいでしょう。
企業のイメージアップに繋がる
シエスタ制度を導入することで、福利厚生の一環として企業のイメージアップに繋がります。
たとえば、同じ雇用条件・仕事内容で休憩が1時間の場合と、2~3時間の場合は後者の方が魅力的に感じやすいのではないでしょうか。
また、シエスタ制度など新しい制度を導入している点から、柔軟性のある会社として評価されやすいです。
従業員のことを考えた会社としてのイメージを持ってもらえるため、シエスタ制度の導入はおすすめです。
ゆっくりと昼食がとれる
シエスタ制度は、ゆっくりと昼食を取れる点も大きなメリットです。
たとえば昼食をオフィス外で昼食を取る場合、お店選びや移動から行う必要があります。
また、お店に着いた後でもメニュー決めや注文、料理が届くまで多くの時間が過ぎてしまいやすいです。
休憩時間が短いとゆっくりと昼食が取れず、体や心を休められないと感じる方は少なくありません。
しかし、シエスタ制度は時間に余裕があるため、お店選びやメニュー決めにも時間をかけられます。急いで昼食を食べる必要もないので、余裕を持って過ごせるでしょう。
シエスタ制度のデメリット
シエスタ制度には導入のメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 体内時計が乱れやすい
- 仕事のメリハリが重要になる
- 退勤時間が遅くなってしまう
それぞれのデメリットについては次の通りです。
体内時計が乱れやすい
シエスタ制度を導入すると、体内時計が乱れる可能性があります。
たとえば、シエスタ制度は2~3時間と長く、仮眠を取る場合でも好きなタイミングで取れます。
しかし、時間に余裕がある点から仮眠で寝すぎてしまい、体内時計が乱れてしまう可能性があります。
仮眠を取る際にも長い時間取るのではなく、15分~20分程度の短い時間にしましょう。
仕事のメリハリが重要になる
シエスタ制度を導入する場合は、仕事のメリハリがより一層重要となります。
2~3時間と休憩時間が長い場合は時間に余裕があるため、仕事に対する気分が薄まりやすいです。
メリハリがつかなくなってしまう方も出てしまうので、オン・オフをしっかりと付けられるような環境整備が必要になります。
退勤時間が遅くなってしまう
退勤時間が遅くなってしまう点は、シエスタ制度のデメリットとも言えます。
シエスタ制度は昼休憩が長くなりますが、勤務時間が短くなるわけではないため、総じて退勤時間が遅くなる傾向にあります。
たとえば、9時出社・17時退社の1時間休憩だった場合、シエスタ制度を導入した場合は、以下の表のとおりです。
通常 | シエスタ制度 |
---|---|
出社:9:00 〜 休憩:1時間 〜 退社:17:00 | 出社:9:00 〜 休憩:3時間 〜 退社:19:00 |
残業が多い企業であれば、さらに時間が伸びてしまうため、シエスタ制度を導入しても生活リズムが乱れないか検討することが重要です。
シエスタ制度の運用する際に押さえておきたい3つのポイント
シエスタ制度の運用を行なう上で、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- 社外や顧客対応ができる環境を整える
- シエスタ制度を利用しやすい雰囲気を作る
- オン・オフの切り替えを上手く行なう
それぞれのポイントについてご紹介します。
①社外や顧客対応ができる環境を整える
シエスタ制度を導入する際には、社外や顧客対応ができる環境を整えましょう。
たとえば、社内全員が同じ時間帯にシエスタ制度を利用してしまうと、2~3時間の間顧客対応や社外への連絡が行われず、営業・業務が滞ってしまう可能性があります。
社外への連絡や顧客対応が行えるように、同じ課内でもシエスタ制度を利用できる時間帯を決めておくと無理なく業務を行えるでしょう。
また、事前に取引のある企業にシエスタ制度を導入する旨を伝えておくと、混乱を避けやすいです。
②シエスタ制度を利用しやすい雰囲気を作る
運用を行うポイントとして、シエスタ制度を利用しやすい雰囲気を作りましょう。
社内でシエスタ制度を導入しますと伝えるだけでは、どのように利用して良いのかわからず迷ってしまう方も少なくありません。
たとえば、役職がついている上司などが率先してシエスタ制度を利用すると、一般社員は利用しやすいでしょう。
導入しただけでは意味がないため、利用しやすい雰囲気づくりを意識してみてください。
③オン・オフの切り替えを上手く行なう
シエスタ制度を利用する際には、オン・オフの切り替えを上手に行うようにしましょう。
休憩時間が長いと、休憩中に仕事に対する意欲が落ちてしまい、切り替えが難しくなる方もいます。
たとえば、休憩時間から戻ってきた際に、少しだけ体を動かすようなストレッチ・運動の時間を設けるのがおすすめです。
体を動かしている間に脳や体が覚醒するため、気持ちの切り替えも行いやすいです。仕事のメリハリをつけるためにも、オン・オフの切替が上手に行えるような環境を整えましょう。
効果的なシエスタ制度の導入方法
上記、運用時のポイントを踏まえた上で、効果的なシエスタ制度の導入方法は、次のとおりです。
- 導入しても支障が出ないか業務内容や退勤時間の確認
- シエスタ制度導入に関する説明会を社内にて行う
- 取引先に対する周知
- 利用する順番・時間帯の設定
- シエスタ制度の実施
日本でもシエスタ制度を導入している企業が増えていますが、まだまだ存在を知らない方も少なくありません。
導入する際には社内全員にわかるように、説明会の実施が理想的です。また、実際にシエスタ制度を導入しても業務に支障がないか・退勤時間が遅くなりすぎないか確認しましょう。
シエスタ制度を導入しても問題ない場合は、取引先に対する周知や利用する順番・時間帯の設定を行います。
役職が付いている方が率先して利用する状態を作ると、多くの方がシエスタ制度を利用しやすくなります。
学校・企業でのシエスタ制度の導入事例
ここからは、シエスタ制度の導入事例についてご紹介します。実際にシエスタ制度を導入している学校や企業の事例についてそれぞれ解説していきます。
学校で取り入れている事例
日本では、兵庫県や岐阜県・岡山県の中高学校がシエスタ制度として仮眠時間を導入しています。
たとえば、岡山県城東高校のシエスタ制度では、45分間の昼休みの休憩時間に、10分間の仮眠時間を導入しています。
シエスタ制度を利用するかどうかは生徒の自由で、シエスタ時間中は電気を消し・カーテンを閉めて癒やし音楽を放送で流している状態です。
また、睡眠を取りやすいように、枕やアイマスクなどの持参も推奨されています。
ほかにも、睡眠の大切さを授業の内容として取り入れている学校もあり、シエスタ制度がさらに注目を集めている状態です。
(参照:岡山城東高校生徒会執行部)
また、睡眠の大切さを学ぶ授業が行われている小学校では、弊社「広葉樹合板」が開発を手がける「立ち寝ボックス」の設置を通じて、仮眠による回復効果を体感してもらいました。
企業で取り入れている事例
スペインだけでなく、日本でも多くの企業がシエスタ制度を導入しています。
たとえば、岡山県にある株式会社アイダメカシステムでは、昼寝OKのシエスタ制度を採用しています。
眠いときには能率悪く業務を行うのではなく、休憩場所などを利用して睡眠を取り、リフレッシュ後に再度業務に取り組む環境が整備されています。
ほかにも、シエスタ制度の利用と併せて、学校行事を始めとした子どものイベントや習い事、家族の送迎などは、届け出を行うと容易に外出可能な環境を作っている状態です。
さまざまな企業がシエスタ制度を導入しており、業務効率の向上やストレス軽減などのメリットがあるため、ぜひ検討してみてください。
まとめ
シエスタ制度は、通常よりも長く休憩を取る制度で、自由に過ごせるため、気持ちにも余裕が出やすいです。
また、ゆっくりと昼食を取れるだけでなく、仮眠を取りやすい環境を構築できます。
仮眠を取ると、脳をリフレッシュできるため、仕事の効率も高められる点が魅力です。
シエスタ制度が気になる方は、今回ご紹介した導入方法を参考にしながら実施してみてください。
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